総合研究大學院大學(以下、総研大)は、大學共同利用機関という研究所などを基盤とする専攻と、大學本部に直結した先導科學研究科からなる、學部を持たない大學院だけの大學です。大學共同利用機関とは、各研究分野において日本全國の大學が共同で利用できる研究所であり、これらの機関は、それぞれの研究分野の拠點として最先端の研究を行いながら、研究者コミュニティの中核となり、國際的な共同研究も推進しています。先導科學研究科は、このような基盤機関を持ちませんが、葉山の地で、生物の進化と、科學と社會の関係に関する最先端の研究を行っています。

総研大は、このような優れた研究拠點で院生の教育を行い、次世代の研究者を養成するという、世界にも類をみないコンセプトのもと、1988年10月に設立されました。2018年3月には30周年を祝うことができました。

総研大の教育現場は、すなわち、日本の最先端研究の現場です。通常の學部に繋がった大學院での生活とは大変異なり、とくに5年一貫制の入學者の場合、學部卒ですぐにも専門の研究者に取り巻かれながら、自らの勉學と研究に勵むことになります。學生數の2倍以上にのぼる教員數。ほかでは得られない裝置や資料、一流の研究者集団。このような環境で博士論文のための研究をすることは、素晴らしいチャンスでありますが、普通の大學とは異なる面、ストレスもあるかもしれません。

しかし、どの専攻も院生たちを大事にし、そこで過ごす時間が実り多く楽しいものとなるよう工夫しています。大學本部も精いっぱいそれを支えていきます。學生のみなさんは、この研究環境を最大限に活用し、博士論文研究に取り組んでください。

総研大は創立以來、「高い専門性」と「広い視野」、そして「國際的な通用性」を教育目標に掲げてきました。先に述べたような研究現場で學ぶのですから、「高い専門性」と「國際的な通用性」は、自ずと身につくかもしれません。

しかし、「広い視野」はどうでしょうか? 「広い視野」とは、自分の研究対象を、もっと広い、人類の知的な活動全體の中で位置づけて語ることができる能力、現在の専門分野を越えて、新たな地平を想像することのできる能力です。博士論文の執筆中にこれらを獲得することは難しいかもしれませんが、エネルギー、物質、宇宙、生命、情報、歴史、文化と、幅広い知識領域をカバーする専攻をそろえた本學の特色を活かし、さまざまな機會に広い視野を得る努力をしていただきたいと思います。

現在、大學や基礎研究を取り巻く日本の狀況は、決して希望に満ちているとは言えません。また、総研大という高等教育機関が今後どのように発展していくべきか、真剣に考えるべき課題もあります。それでも、先の見えにくい時代にあって、どのような狀況でどんなに難しい事態に直面しても、一流の研究者としてそれに立ち向かい、世界で活躍できる人材を輩出していけるよう、関係各位のご協力のもと、日々努力していく所存です。

平成31年4月1日
総合研究大學院大學長
sig_jp.png

草蜢社区在线观看免费下载