私は、2016年4月から、毎日新聞に『時代の風』というコラムを、6週間に1回、連載しています。 現代のさまざまな問題を、進化という別の視點から考えていきますので、ご興味のある方はご一読ください。

COP26閉幕 危機感薄く、遅れる日本

國連気候変動枠組み條約の第26回締約國會議であるCOP26が終了した。1031日から1113日まで、英國のグラスゴーで開かれた。COPという會議は、國連が提案するいろいろな條約の締約國會議のことである。條約の中身を実行に移すために、各國が話し合う場だ。

気候変動に関する國連の枠組み條約は1992年にリオデジャネイロで開催された、環境と開発に関する國連の會議で提出された。それには155カ國が署名した。もう30年近くも前の話である。その後、その締約國會議が毎年開催され、いろいろなことが決められてきたが、溫暖化は止まらず、成果には疑問が多い。

97年に京都で行われたのがCOP3で、その時に京都議定書が採択された。二酸化炭素などの排出による深刻な影響を何とかしなければと、いよいよ世界が腰を上げた。溫室効果ガスを、2008年から12年の間に、90年比で約5%削減することが決められたのである。これに基づいて、各國が獨自の目標を設定し、歐州連合は8%、米國は7%、そして日本は6%の削減を約束した。

ところで、京都議定書では、削減の対象となっているのは先進國だけで、途上國に義務は課せられなかった。それは、これまで溫室効果ガスを排出してきた責任の大部分は先進國にあるのだから、まずは先進國から、という理由であった。

しかし、そんなことでこの條約の目指すところの効果が出るのか、當初から大きな疑問がもたれ、また不満の原因ともなっていた。ちなみに日本は、08年から12年の間に90年比で6%削減するという目標は達成できた。

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紆余曲折はあったが、それでも世界中の締約國が何とか議論を続け、15年のCOP21では、パリ協定が結ばれることになる。このパリ協定では、世界の平均気溫の上昇を、産業革命以前に比べて2度よりも十分低く抑え、1.5度くらいに抑える努力をすることが決められた。このときは、加盟している196カ國?地域すべてが參加し、米國と中國も同時に批準した。

実行に移すには、できるだけ早く、世界の溫室効果ガスの排出を減らす方向に持っていかねばならない。ところが、トランプ氏が米國の大統領になると、パリ協定からの離脫を宣言し、20年には離脫してしまった。が、21年に大統領に就任したバイデン氏は再び復帰。そして、今回のCOP26では、はっきりと世界の平均気溫の上昇を1.5度以內に抑えることを追求する、と決まった。これは大きな成果だ。

気候変動対策は二酸化炭素だけではない。メタンも重要だ。今回は、メタン排出量を30年までに20年比で30%削減することに対し、100カ國以上が署名した。

森林破壊については、これももう50年ほどにわたって警鐘が鳴らされてきた。それがとうとう、プラジル、インドネシア、コンゴ民主共和國、カナダ、ロシア、米國などが、森林破壊を30年までに終わらせるという案に署名した。

國連の統計によると、地球上の森林は、90年から20年までの30年間で、17800萬ヘクタールが失われた。年間の森林の消失は、90年から徐々に少なくなってきている。それでも、森林が消えていることには変わりはない。

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今回、生態系にとって重要な熱帯林を抱えるブラジル、インドネシア、コンゴなどが30年までに伐採をやめると言い切ったのはすごい。本當に実行できるのかどうかが問題だが。

途上國の溫室効果ガスの排出は年々増加しており、筆頭は中國とインドだ。そのインドが70年までに排出のネットゼロ(実質ゼロ)を達成すると表明した。今世紀中の気溫上昇を1.5度以內に抑えるには、50年までに排出ゼロを達成せねばならないので、70年は遅いのでだが、取りあえずの決意表明は歓迎である。

ところで、日本では、これらの問題はどれほど認識されているのだろう?環境保全と経済は対立するものではない。世界は、地球環境を守ることを大目標に、それを経済発展の糧にしようと発想転換している。地球環境の危機は、一刻も早く解決へと向かわねばならない緊急事態なのだ。

先日の衆議院選挙で環境がまったく爭點にならなかったという日本の狀況が、私には不可解なのである。

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